ドラマ「僕らは奇跡でできている」3話の感想

だいたいドラマは1、2話までは色々な種類をみてるけど、そこからだんだん自分の好みのものだけに淘汰されていく。ちなみに今期は「僕らは奇跡でできている」、「獣になれない私たち」、「ドロ刑」、「SUITS」、「結婚相手は抽選で」、「大恋愛」を追っている。特に今回は僕らは奇跡でできているの話をしたい。

 

主人公の相河先生は動物にものすごく関心がある大学教授。人の話もきかないでひたすら動物のことを話し続ける。第3話はそんな相河先生が動物園のサルのボスザルが変わるかもしれない、とサル山にはりつくお話。動物園に通っているある日、歯科医院で仲良くなったこういちくん(小学生、9歳)と道端で出会う。こういちくんは、相河先生と一緒に動物園に行きたい!と言って一緒に行くことになる。

 

閉園のアナウンスが流れたらサル山の前に戻ってくること、と約束をして相河先生とこういちくんは別れる。こういちくんは発見が大好きだ。たくさん何かを見つけるために動物園内を回って、動物を観察してスケッチブックに描く。

 

ただ、そのことをきいていなかったお母さんはこういちくんがどこにいるかもわからずに、必死になってこういちくんのことを探し回る。歯医者の水本先生のところにまでいってこういちはいませんか、と尋ねる。そこから水本先生までを巻き込んでこういちくん探しがはじまる。相河先生とこういちくんが一緒に動物園にいるかもしれない、と見当をつけた水本先生は動物園まで探しに出かけるが、相河先生は見つかってもこういちくんは見つからない。「どこにいるか知らないんですか?」と問う水本先生に相河先生はこう答える。

 

「こういちくんは戻ってきます。」

 

そんな相河先生に水本先生は「なんで探さないんですか?」と声高に詰め寄る。まっとうな考え方をすれば人の家の子を勝手に動物園に連れてって、しかも同じ場所にいるとはいえどこにいるかわからない状況にするなんて無責任すぎる。ただ今のわたしには、こういちくんを自由にさせてください、としか思えなかったから相河先生の行動に賛成。

 

お母さんとこういちくんのシーンは2話に出てくる。こういちくんの話をさえぎって宿題を早く終わらせなさい、と言うお母さん。もちろん親の立場からすれば忙しいしそんな話になんかかまってられないし、なんでみんなと同じように出来ないの?!って思ってるんだろうな、と思う。それを批判するのは酷だし、自分の子どもがこうだったら、このお母さんみたいになるのかもしれない。

 

でも第3者のわたしは、画面外から見ているわたしは、みんなと違うから何?みんなと同じに出来ないから何?話をよく聞いてよ、すごいこと言ってるじゃん、発見なんだよ、ねえ、子どもだからって甘くみないでよ、こうあってほしいってのは親のエゴ、ありのままを受け止めてよ、どうして?ってこういちくんの気持ちにもなりながら叫んじゃっているのだ。こういう子も含めて子どもたち全員とのびのび暮らしたかったんだ。あの頃の記憶が沸々と湧き出てくる。わたしが教育者になりたかった原点が思い出される。苦しい。

 

みんなと同じ、というのは誰の得なのだろうか。

 

3話のはじめに子どものころの相河先生が音楽の時間に体を揺らしながら歌を歌う、というシーンがあった。他の子は後ろで手を組んで足を肩幅に開いて真っすぐに歌っているのに、相河くんはどうしても歌っていると体が揺れてしまう。それを見た先生は、「相河くん、体を揺らさない」と注意する。

 

自由に歌って何が悪いんだろう。

 

わたしたちは教育の場に何を願っているのだろう。

 

相河先生がずっと待っていたサル山の前に、約束通りこういちくんは帰ってきた。にっこにこの笑顔で、動物園でのたくさんの発見をしたためたスケッチブックを抱えて。キリンの首のコブが動いた、クジャクの羽はひらかなかった、だから想像してみたよ、とスケッチブックを広げて相河先生に見せるこういちくん。スケッチブックに描かれたクジャクの絵を見て涙が止まらなかった。

 

ずっとこういうこと、発見をお母さんに見せたくて、誰かに話を聞いてもらいたくて、それが今回本当に自由にのびのびと動物園で出来た。さらにそれを受け止めてくれる相河先生がいる。それがこういちくんにとってどれほど大きなことだろう。

 

日本の教育でみんなと同じようにできないから、となんで同じように出来ないの?と叱られている子どもたちがどうかどこかで幸せに過ごせますようにと願う。お母さんの大変さも分かる。痛いほどわかる。でもどうか子どもを他の子と比べないでほしい、その子の個性を伸ばしてほしい。見守っていてほしい。そしてなによりそれくらいの心の余裕を持てるように、お母さんの周りが優しい世界になってほしい。

 

待っていてくれてありがとう、相河先生。

 わたしはあなたみたいな人になりたかった。

みんなと違うと言われる子をゆったりと見守れるような、そんな人に。

 

そしてそんな世界を作りたい。

そんな世界の一員になりたい。

 

以上。本日も読んでくださりありがとうございました。